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グローバル化はわれわれにさまざまな便益をもたらしたが、しかし他方、さまざまな問題も生みだしている。人々が、何よりもまず、効率の追求や利益の追求にその関心を向けるようになったことは、われわれの生き方を考える上で、きわめて大きな問題であると言うことができる。それとともに、なりふりかまわない、つまり他者への配慮を欠いた利益追求や、そこから生まれてくる激しい競争は、富める国と貧しい国、富める層と貧しい層の激しい対立、社会のなかのさまざまな集団に対する偏見や差別、他を排斥することによって自らのアイデンティティを保持しようとする排他的ナショナリズム、攻撃的な原理主義などを生みだしている。集団と集団、民族と民族、宗教と宗教、国家と国家の軋轢や対立がかつてないほどに深く強いものになっている。
グローバル化も多様な文化や価値を否定し、社会を一様化する力として働くが、閉鎖的なナショナリズムや原理主義もまた価値の多様性を否認する大きな力として働く。そのような力を前に多様な文化や価値が押しつぶされようとしている状況のなかに、われわれは現在まさに生きている。
この、文化と文化とのあいだに生じようとしている亀裂をいかにして防ぎ、生じた亀裂をいかにして修復することができるのか、そうした問題に対する即効性のある対処法はないように思われる。
それぞれがそれぞれの歴史や文化を担っていることを認め、尊重しあうことから出発する以外に道はない。そういう姿勢をもちながら互いに対話することが、いま改めて求められているのではないだろうか。人類はこれまでも異質なものに触れ、そこから刺激を受けることによって自らの文化を、そして自らの生を豊かにしてきた。異なった文化や考え方は、お互いがお互いを豊かにしうる源泉なのである。その原点に立ち戻るほかに道はないように思う。
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