開運命理展
內容連載 頁數 4/8

それを受け継ぐのが、現在われわれが手にしている人文学(humanities)である。それが果たしてきた役割が何であったのか、一言で表現することは難しいが、たとえば「空間的に、あるいは時間的に異なった文化、異なったものの考え方、異なった価値観へと人々の目を開き、そのようなものを理解する想像力と思惟の力とを培ってきた」と言うことができるのではないだろうか。それは、元来自己のなかに閉じこもりがちになるわれわれの心を外に向かって開き、異なったものの見方に触れさせ、他者に対する共感の心と、みずからを顧みる目とを養ってきた。そういう意味で人文学は基本的に他に開かれたものである。自己自身の文化の枠組みのなかでは見えないもの、つまり異なったものの見方や世界観に目を向け、自分のものの見方や考え方を根底から揺さぶり、自分自身のものの見方を固定しているくさびを抜くという役割を果たしてきた。
 
そのように他の文化や他のものの見方に触れることによって、われわれはわれわれの文化をより豊かなものにしてきたし、同時に、異他的なものとの共存を可能にする基盤を形成してきた。そしてそれを支えてきたのが人文学であったと言えるであろう。
 
そのような考えに基づいて、編者はこれまで折あるごとに、現代における人文学の意義を強調するとともに、それを発展させるためには、思想間の対話が重要な意味をもつことを主張してきた。文化一般がそうであるように、思想もまた、異なった思想に触れることによって、その発展の可能性が開かれると考えるからである。
 
ここで「思想間の対話」と言うとき、「対話」という言葉は、もちろん比喩的な意味で用いられている。自己と他者、私と汝とのあいだでなされる対話が、その本義である。「思想間の対話」という表現はそれを転用したものにすぎない。しかしそれと、自己と他者、私と汝とのあいだでなされる具体的な「対話」とのあいだには、深く通じるものがある。
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